「一度貸したら、還ってこないと思え。」と言われていた借地権の問題。実際にあったご相談?
旧法の借地権
現在の借地権には、旧法のものと新法のものが存在しています。
旧法とは、平成4年8月より前に契約した借地権に適用されている法律で、平成4年8月からは、新法の借地権が適用されています。
この新法と旧法には大きな違いがあり、中でも大きいのが、契約期間の問題です。
一般には、旧法で貸した土地は、「一度土地を貸したら半永久的に返ってこなくなる」とも言われていて、昔から土地を貸している地主にとっては頭の痛い問題となっていることがあります。
半永久的に戻ってこないと言われているのには、契約の期間内は当然のことながら、契約期間が終わった更新時でも、地主が土地を返してもらうためには、正当事由が必要だからでした。
しかも、契約を更新すると、旧法が適用されているものは、そのまま旧法を引き継ぐことになるため、いつまでも終わりがない。
自分の所有であるはずなのに、自分で使うことも、第三者に貸すこともできない。
だから、地主にとっては、この旧法の借地権というのは、とても頭の痛い問題となっているわけです。
対して新しくなった新法では、旧来の旧借地権に似た普通借地権の他に、新しく定期借地権が設定されています。
この新しい定期借地権では、更新をしないことなどが定められるようになり、地主に土地が戻ってきやすくなっています。
貸した土地が返ってこない地主にとっての解決策?
旧法の借地権が設定されている土地は、「貸したら半永久的に返ってこない」という状態のため、地主にとっては、大きな不安を抱えていることでしょう。
正直これに対してあまりやれることはないのかもしれませんが、それでも交渉をして旧借地権を外すことは不可能ではありません。
一つは、借地権に相当するぐらいの金額を借地人に支払って返してもらうという方法が考えられます。
実際には、借地権を買い取ってもらうという権利はないため、一般的には『立退料』という形でお金を支払うことになります。
この立退料ですが、場合によってはかなりの金額になることもあるので、なかなか実行するのには難しい所もあります。
しかも、「そもそも自分の所有している土地を返してもらうのに、なんでお金を払わなければいけないんだ?」と思うことも少なくないのかもしれません。
もう一つは、交渉を重ねて、新法の借地権の契約に変更してもらうという事もあります。
貸す方と借りる方の双方に合意があれば、旧法の借地権を新法の借地権に変更することが可能になので、交渉によって新法の契約に変更してもらい、いつか必ず返してもらえるように契約を結び直すことになります。
ただ、交渉時には、まだ借地人が有利な立場でいることに変わりはありませんので、貸している方も、所有者だからという勢いで話すのではなく、双方が誠意をもって話し合いをすることが求められることと思います。
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